
産後の女性は白髪や抜け毛が増えた、と感じる人がいます。そのためいっきに老けたような気持ちになってしまうことがありますが、その原因は一時的なものなのかもしれないのです。産後の毛髪のトラブルを解消するためには、原因と解消方法を知る必要があります。
産後は抜け毛が増える
産後に抜け毛が増えてしまう理由のひとつが、母乳育児をするからです。母乳は母親の血液からつくられるもので、別名「白い血液」ともいわれています。乳腺に血液が運ばれ乳汁へと変化し、それが乳管を通って乳管洞に溜まり、赤ちゃんが吸うことで母乳が出てきます。母乳が白い色をしているのは、血液の成分から赤い色素の赤血球が取り込まれないからです。
そして産後は母乳育児をすることで産後の女性は多くの血液を失い、髪に必要となる血流が不足して栄養が届けられなくなります。そのため一時的に抜け毛が増えたり、人によっては貧血がひどくなったと感じる場合もあります。母乳育児を長く続けなかった人でも、出産により多くの血液を失っているため、産後に抜け毛が増えたり毛が細くなったりといったトラブルを抱えやすくなります。
抜け毛だけではなく白髪も
産後に母乳育児をすると、抜け毛だけでなく白髪も同時に増えてしまうことがあります。髪の色素となるメラニンはメラノサイトからつくりだされ、母乳により血液を多く失うと、メラニンの原料となるチロシンやミネラルが不足してしまいます。さらに血液を失えばメラノサイト自体の量も減少してしまう結果になります。
ほかにも考えられる原因は、エストロゲンの量が減少することや、ストレスの影響もあります。産後の女性は女性ホルモンが大きく変化し、エストロゲンが不足しています。エストロゲンは髪の成長に必要なホルモンで産後は抜け毛が増えたり、メラノサイトが女性ホルモンの刺激を受けられなくなり白髪が増えてくることがあります。
ストレスも大きな原因となることがあり、産後の女性は慣れない育児で精神的・肉体的ストレスを感じやすくなっています。夜中にも授乳が必要となり睡眠不足になったり、なかなか泣き止まない赤ちゃんにイライラが溜まり精神的なストレスを抱えたりもします。産後は育児に忙しく自分のことは後回しになりやすく、産後のケアが疎かになり知らないうちにストレスが溜まっているものなのです。
産後の毛髪対策
産後の抜け毛は血液を増やすために、髪の成長に必要な栄養素を摂取することが大切です。食事は規則正しく1日3回が目安で、毎食に主食・主菜・副菜・味噌汁などを組み合わせるようにしましょう。主菜はごはんや麺類など炭水化物で、主菜はたんぱく質を含むおかず、副菜は野菜や海草などをメインとしたメニューです。これに乳製品や果物をプラスするとバランスがよくなります。
血液中の赤血球やヘモグロビンはたんぱく質から作られ、貧血予防に役立つ鉄分の補給も必要です。さらにビタミンCを摂取して非ヘム鉄の吸収を高め、造血効果のあるビタミンB12と葉酸を食べましょう。血液の量が増えれば、母乳で失っても母体の分が不足することはありません。
白髪の予防は、メラノサイトを守ることが重要となります。一度消失してしまったメラノサイトはもとにもどることはなく、産後の栄養不足や女性ホルモンの変化によっても影響を受けやすくなります。母乳育児中は血液を失わないよう栄養バランスに注意し、産後のダイエットは避けるようにしましょう。母乳育児を続けていれば自然と体重も減りやすいといわれるため、必要のないダイエットは禁物です。栄養のバランスに注意しながら、運動を取り入れたり、摂取カロリーに注意したりするだけでも変化が見られるはずです。
さらに注意したいのがメラノサイトの破壊の原因となる紫外線予防です。紫外線を多く浴びる人ほどDNAの損傷が起こりやすく、色素をつくりだす細胞も紫外線でダメージを受けてしまいます。頭皮は紫外線を浴びやすい箇所ですから、日頃から帽子や日傘などで紫外線予防につとめましょう。
産後のストレスも抜け毛や白髪の原因となることがありますから、育児のストレスをできるだけ溜めない工夫が大切です。産後は夫や両親などの協力を得られながら、適度に育児から離れ自分の時間を持てるよう工夫してみてください。睡眠不足もストレスに繋がりやすく、産後で何度も夜中に授乳が必要なときは、昼寝も上手く活用しましょう。生まれたばかりの赤ちゃんはまだ体内リズムが整っていないため、夜中に何度も目を覚ましてしまいますが、ほんの少しの辛抱ですから家族の協力を得られながら乗り切るのがポイントです。
産後は育児で忙しくなかなか自分のケアはできないと感じる人も多くなっていますが、ここで無理をしすぎれば後々の薄毛や白髪に繋がるかもしれません。産後は抜け毛や白髪になりやすい原因をいくつも抱えやすくなっていますから、多くの方が髪のトラブルを抱えているようです。この症状も一時的なものとなり、産後は自分のケアもきちんと考え、メラノサイトが消失してしまわないよう注意してみましょう。
よく一緒に読まれている記事
コメント